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行政DXを加速させる生成AI基盤「源内 Web」の技術全貌と開発プロセス
📝 概要
「源内 Web」は、日本の行政実務における生成AI利活用を推進するためにデジタル庁が開発したウェブアプリケーションです。AWSの「Generative AI Use Cases(GenU)」をベースに、デジタル庁デザインシステムの適用や行政特有の機能拡張が行われています。単なるチャットツールに留まらず、政府職員約18万人の業務を支える知的基盤として設計されており、ガバメントクラウドの堅牢なセキュリティと、AIエージェントを活用した最新の開発プロセスを両立させている点が大きな特徴です。官民の枠を超えたAI実装を目指し、OSS(オープンソースソフトウェア)としての公開も行われています。
📋 詳細レポート
ガバメントクラウドを基盤とした高度なセキュリティ
源内 Webは、デジタル庁が運用する「ガバメントクラウド(ガバクラ)」上で稼働しています。一般的に制約が厳しいと思われがちな政府系インフラですが、開発現場ではセキュリティルールが事前に組み込まれた「安全な砂場」として機能しています。
- ガバナンスの自動適用: IAMユーザーの作成禁止や国内リージョンへの制限、ログの一元管理などが徹底されており、開発者はセキュリティを過度に懸念することなく、アプリケーション構築に専念できる環境が整えられています。
- マルチクラウド対応: ガバメントクラウドが提供する複数のクラウドサービスプロバイダー(CSP)に対応可能であり、各CSPの特性を活かした運用が想定されています。
源内 Webの主要機能と拡張性
標準機能として、チャット、文章生成、翻訳、画像生成、ダイアグラム生成、文字起こしなどの生成AI活用に不可欠な機能を網羅しています。
- AIアプリ呼び出し機能: 最大の特徴の一つであり、独自のAPI仕様に準拠した外部AIアプリを、クラウドプロバイダーを問わず源内 Webから呼び出すことができます。
- OSSとしての提供: ガバメントクラウド以外の一般的なクラウド環境でもデプロイ可能な構成で公開されており、地方自治体や民間企業での活用も視野に入れています。
AIと仕様駆動による次世代の開発スタイル
開発チームでは、GitHubを活用した高度なCI/CDパイプラインに加え、AIエージェントを組み込んだ革新的なワークフローを導入しています。
- Spec Kitによる仕様駆動開発: 「Spec(仕様)」を先に定義し、それを元にAIエージェント(Claude CodeやCopilot CLI)へ実装を依頼する実験的な手法を採用しています。
- 徹底した品質管理: 開発者によるレビューに加え、デジタル庁内の「クオリティサポートチーム」がアクセシビリティやセキュリティ、UI/UXの観点から専門的な評価を実施しています。特に視覚障害を持つスペシャリストによる実用性チェックが行われている点は特筆すべき点です。
セキュリティ対策の自動化と仕組み化
事故を未然に防ぐため、GitHub Advanced Securityをフル活用した自動検知システムが構築されています。
- 脆弱性管理: Dependabotによるパッケージ管理、シークレット検出、コードスキャンを自動化しています。
- サプライチェーンセキュリティ: GitHub ActionsのSHA指定(pinning)や、パッケージ管理ツールにおけるインストールスクリプトの実行制限など、細部にわたる防御策が講じられています。
今後の展望
2026年5月より、約18万人の政府職員を対象とした大規模実証が予定されています。今後は、職員が培ってきた業務ノウハウをAIエージェントの「スキル」として形式知化し、組織全体で循環させる仕組みの構築を目指しています。また、日本の自律性を確保する観点から、国産LLM(大規模言語モデル)の選定・活用も進められ、政府主導でのAI産業の育成と行政サービスの変革が並行して推進される見込みです。